2023年10月2日より高知県中土佐町にて開始された「公共交通マイナンバーカード活用実証事業」に、システム構築事業者として当社が参加しています。
今回は当実証事業についてプロジェクトメンバーにお話しを伺いました。

「公共交通マイナンバーカード活用実証事業」
中土佐町の65歳以上の高齢者、障がい者などの移動が困難な住民がバスを利用する際に、マイナンバーカードを車載のカードリーダーにかざすだけで乗り降りできるというものです。
これまでは乗車する際に、利用者証を提示した上で乗車地、降車地、利用日付を手書きして、運転手に提出する必要がありました。今回の実証事業では、マイナンバーカードを活用することにより、紙への記入を省けるため利用者の利便性が高まるほか、集計やチェック作業のコストを減らせるため町役場の職員や運行を委託されている民間業者の業務効率化も期待されています。

今回のプロジェクトを開始したきっかけを教えてください。

今回のプロジェクトのシステム開発を担うシステム2課と事業推進室の混成チーム

中土佐町役場様にて町内ローカルバスの運営にマイナンバーカードを活用したいとのニーズがあり、今年の4月に高知県庁様から協力してくれる事業者を探しているというご案内をいただいたことがきっかけでした。

社内で検討を重ねた結果、プロポーザルに参加することとなりました。未知の事案だったため大きな不安はありましたが、社内で「またとないチャンス」という激励とプレッシャーに背中を押され挑戦を決意しました。

5月に行われたプロボーザルは3社での競合となりました。準備期間は短かったですが、関係各所の協力のもと無事に当社で受注することができました。

自治体の基幹システムに精通していること、インフラ構築の経験が豊富であることなどで評価されたことが選定となりましたが、あわせて交通インフラに関する知識の未熟さなど手厳しいご意見もいただきました。

進行状況について教えてください。

業者決定通知後、7月にキックオフしました。実証実験開始は10月ですので、開発期間は実質3ヵ月と長くはありませんでした。

序盤は高知県様や中土佐町様とシステムの仕様や機器について調整を進め、最終的に下記のような構成になりました。

①AP搭載システム:カードIDの登録
②業務システム:利用者名簿の作成・管理
③利用者ID同期システム:バスに搭載された端末に利用者の登録状況を同期
④乗降改札システム:カードから読み取った利用者IDと乗降日時をサーバに送信
⑤精算システム:乗降データとGTFSデータから運賃を算出して集計

これらを複数の開発部門の混成でプロジェクトチームを立ち上げ、開発に着手しました。

プロジェクトの進行の中で苦労されたことはありますか?

前例のない案件でしたので、苦労の連続でした。実装作業や 馴染みのない技術に関する知識の習得はもちろん、プロジェクトメンバーと情報共有や認識合わせを夜遅くまで行うことが多かったです。

そんな苦労の中で先に完成したシステムには、中土佐町様の周知のおかげもあり、1カ月間で400名以上の住民が事前登録してくださり、とても嬉しかったです。

迎えた実証実験開始当日は、万全を期するためにプロジェクトメンバーがコミュニティバスに同乗して対応し、無事にセレモニーも終えることができました。

現在は中土佐町内のバス計4台で実験を行っており、12月からは須崎市と四万十町方面の路線にも拡大し、計20台のバスで実証実験を進めていく予定です。

今後の取り組みについて

タイトな期間の中で実証事業にこぎつけられたのは、中土佐町様や高知県様の支援はもちろん、プロジェクトメンバーが難しい課題でも前へ前へと押し進めた結果だと思います。

10月2日に中土佐町役場にて行われたセレモニーには、多くのメディアが取材で訪れており、翌日の記事等で本プロジェクトが紹介されました。

全国初のマイナンバーカードを活用した公共交通の利用情報を管理する取り組みとあって非常に注目されています。

来年3月までの実証実験の結果をもとに4月以降の正式サービスの実現を目指すとともに、今後の当社におけるマイナンバーカードを活用したサービスの礎となる実績を残せるように頑張りたいと思っています。